「これまでの曲解説と、これからの一日一歌」
大変な人もそれほどでもない人も、みなさん元気ですか。
復旧は遅々としてなかなか進みませんが、
いつも無事を願っています。
おれも仕事に集中することで、自分を保っています。
ツアーの準備やその他、なんだかちょっとリアリティがない感じだけど、
もともと立てていた年末までの予定、余計な心配はスタッフにまかせて、
おれはとにかく突っ走るつもりです。
さて、
必要ないかもしれないけど、ここまでの曲を解説してみたいと思います。
イメージが壊れるかもしれないので、読む読まないはもちろん自由です(笑)。
「笑ってる人の顔を見て」
地震から三日経った頃、おれは自分が全然笑ってないことにふと気づいた。
家族やスタッフの表情が暗いのは、きっとそのせいだと思った。
なぜならおれは、普段誰よりも声がでかく、誰よりも大きな声で笑って、
誰よりも表情豊かな人間だと自負していたから。
なので、「笑ってる人」とは、自分のこと。
一日一歌、まずは自分のために。
「歌よ」
いまや日課になったランニング。
河川敷を走っていて、その場で作った歌。
報道を観ていても、入ってくる情報はほんの一部。
おれらは知らない事の方が多い。
でも、「知らない」ということを自覚していないと、
買い占めなどのパニックを起こす。
大騒ぎしている人のほとんどは、何にも「知らない」人だ。
何が起ころうとも、おれの歌はいつもどおり。
「きみは泣きながら僕をぶつ」
不安、苦しさ、葛藤。
そして安堵、喜び、涙。
思わずこぶしで相手の胸を叩いてしまう。
このアイディアの元は、「僕は海じゃない」を作った時にあったもの。
今回、報道を観ていて(なんだかんだとよくテレビ観てる(笑))、
被災した人同士が再会し、涙してる映像から、この曲の完成へとつながった。
被災した人たちは本当にがんばっておられる。
おれに歌を作る力をくれる。
大変な人たちにこんな事をいうのは変かもしれないけど、
おれは心からお礼を言いたい。
お見舞いの言葉とは別に。
ありがとう。あなた方のおかげでいろんな事に気づかされます。
そして自分を奮い立たせ、がんばれます。
どうか元気でいてください。
「ずっと元気でいてくれよ」
こういう時だから、作る曲がどうしてもバラードっぽくなるので、
ここらで明るい曲を作ってみよう!と思って。
こういうのを、みんなで手拍子合わせて楽しむライブ、早くやりたい!
チャッ、チャッ、チャッ!チャッチャッ!
こんな具合に、会場全体で。
「誰ひとり」
思えば誰ひとりあきらめない。あきらめていないのだ。
この国のために、みんなががんばっている。
夢なんて、根性がなければあっという間にあきらめがつく。
自分をよく知れば、あきらめざるをえない夢などたくさんある。
でも、生きる事そのものに、あきらめもへったくれもない。
生きていく事をあきらめず、みんな必死でこの苦難に立ち向かっている。
歌の中で「ありがとう」を連呼するのなんて、
ちょっと恥ずかしくて普段ならできないけど、
飾り言葉ではなく自分が本当にそう思っていたら、
むしろ気持ちよく歌ってしまえるものだ。
そんな当たり前の事にも気づかされた。
つくづく、語呂とか響きだけにとらわれた作詞はダメです。
反省反省。
「誕生日やね」
ここ数日、数人の友だちやスタッフに子供が産まれた。
その報告をたくさんもらった。
うちのチビも、12回目の誕生日を迎えた。
産まれた命も、誕生日を迎えた人も、
この日を忘れることはないだろう。
何が起ころうと、それは本当におめでたい事だ。
被災地で誕生日を迎えた方々、よかったよかった。
おめでとうございます。
「部屋の隅っこには恋のかけら」
これは、こんな最中に人知れず(笑)出版されたおれの本のタイトル。
それのサウンドトラックみたいなものか。
誰にでもありそうな、思い出の断片を歌にしてみました。
「床にあのコの毛が落ちている」
どこぞの何の毛かは好きに想像してください。
青春とはそういうものである。
以上、とりあえず今アップしている曲の解説でした。
ここまで一週間、たくさんの人に聴いてもらって励ましてもらって、
本当にありがとう。この先の一週間もよろしくお願いします。
それで、先々週の金曜日から作り始めた曲の数々、
作りながら、歌いながら、録音しながら、いろいろ考えた事があります。
一日一歌。
作るのはあくまでおれの個人的な挑戦みたいな意味合いもある。
でもそれって、聴いてくれる人にはあんまり関係ないし、
場合によっては面倒くさい話でもあると思う。
だから、これからももちろん作るんだけれど、
たとえば、一月から二月にかけてたくさん録ったデモ音源の中にも、
「これは聴いてもらいたい!」と思うものもあるので、
そういうのも出していこうかなと思って。
それから、とりあえず二週間ではじめた「一日一歌」だけど、
その先は、みんなが聴きたい歌をおれが弾き語りで歌うのもいいな〜、
と思ったりもしています。
リクエストをもらって、おれが歌う。
できるものは何だって歌う。
おれは歌うたいやから。
そんな感じで、いまは考えています。
みんなの意見もまた聞かせてください。
よろしく。
トータス松本