2011.04.04 (Mon)
★トータス松本よりメッセージ その4.

「つづきの曲解説と、これからの一日一歌」

みなさん、いかがお過ごしですか。
おれはおかげさまで元気です。
こんなささやかなおれの歌でも、
みなさんが大切に聴いてくれ、
微力ながら役に立てているような、
そんな気持ちがおれを支えていてくれるからです。
 
どんなに想像しても報道を観ても、
とても把握しきれるようなものじゃない被災された方々の苦痛。
まだまだやれる事はたくさんあると思うし、
おれも日々、考え続けています。
 
「やるぞ!やれるぞ!」
まわりの人たちが、そして自分が、
少しでも明るくいられるように、
声を掛け合っていきましょう!
 
さて、一日一歌の曲解説、
思いのほか好評だったようなので、
喜んで図に乗って後半もやってみたいと思います。
前にも言いましたが、イメージが崩れることもあると思うので、
読む読まないはもちろん自由です。
 
「日本人やぞ」
この日はスタジオでア・カペラツアー用の資料作りをしていた。
コーラス隊のアレンジ用に、候補曲をかたっぱしから歌いたおして録音した。
ガイドとしてギターだけをまず録音し、あとはア・カペラで歌いまくり。
ランナーズ・ハイというのがあるなら、こちらはまさにシンガーズ・ハイ!
自分の歌なのにだんだん酔いしれてきて(シアワセ者)、突然このフレーズ、
「日本人やぞ サムライやぞ」が降って沸いた。
そして、歌詞の光景がありありと見えてきた。
こういう歌は、冷静では決して作れない。
あとで歌詞を読んで、メロディーを聞いて、
たとえちょっと恥ずかしい気持ちになったとしても、
これは本当に今しか作れない歌。
 
「火の鳥」
こないだテレビの仕事で、手塚プロへ取材に伺い、
話を聞いたり原画にふれたりして強烈に感動したこともあって、
最近またよく手塚作品を読んでいる。
部屋でひとり、「火の鳥・黎明編」を読んでいると、
涙で顔がぐしゃぐしゃになった。
もちろん今回の地震による実際の被害と、マンガの中のドラマを、
比較したり混同したりしてはいけない。
だが、手塚治虫という作家の創作動機の根っこにあったものは、
悲惨な戦争体験だ。
絶対に生き抜いてやる。
そんなメッセージが、今のおれの心には今までになく響きまくった。
感動が歌になって、それを受け取った人がまた何かを感じる。
そんなふうに伝わったら嬉しい。
そんな想いで書いた曲。
 
「ロビンソンへ」

歌詞では多くを言わなかったけれど、
スピッツはおれにとって特別なバンドだ。
今でも新譜のタイトルや歌詞や、
分かりやすいのに親しみやすいのに
どこか淋しげな雰囲気、ドキリとする言葉、
それでいて希望があり、ユーモアがある、
誰にもマネの出来ないその世界観。
「なかなか売れないねー」などと言われながら、
そんなスピッツの「ロビンソン」がヒットチャートに現れた時は、
本当に勇気づけられたものだ。
同じか、あるいはそれ以上に「ほんと売れないねー」なんて言われてたウルフルズ。
そんなおれでも「やれるかも!」と思ってがんばれた。
草野君、その節はありがとう。
また楽しく歌おうぜ!
 
「風の噂」
あきれるようなモノをいう人がいる。
しかもこんな時に。
地震で傷ついてる人がいっぱいいるというのに、
言葉や行動でまだ傷つく人を増やそうというのか。
またはこんな時でさえ、「こうだ!」と強く言わない、
言えないのか、言う気がないのか、言ってるつもりなのにそう見えないだけなのか、
なんか分からないけれど、少なくとも人々の励みや力づけにはなってそうもない。
何なんや!と、いらつく思いを思わず歌にした。
 
「名もないネコ」
まずは、配信がはじまった時に不具合があり、
ちゃんとお聴かせできなかった事をお詫びしておきます。
どうもすみませんでした。
好きな曲なので、おれも残念な気持ちでした。
今は問題ないので、どうぞ聴いてみてください。
 
去年9月の「ハッピー ミュージック フェスタ」という、
動物の孤児院主催のチャリティーイベントに出た時に歌った歌。
前の晩に思いつきで書いた曲で、まだまだスケッチ段階だったが、
弾き語りでの出演だったためサクッと歌ってみたら、
なんかちょっと童謡っぽくて我ながら感じがよかったので、
つづきを作ろうととっておいた。
つづきはちょっと意外な人に、「いっしょに作ろうよ」と振ってある。
もしも完成したら、それもまた動物孤児のチャリティーにできたらと思っている。

「これからの夢」
事務所のスタッフからきた仕事のメールの中に、
「季節も心もあたたかくなれ、と願うばかりです」
という一節があり、それにインスパイアされて作った曲。
曲の雰囲気は、走りながら聴いていたソウル スターラーズという、
 サム・クックがリードヴォーカルをつとめていたゴスペル・グループの
「Come And Go To That Land」という曲を参考にした。
ふさぎ込みそうになると、これからの事を考えるのが一番!
最近のおれは特にそう。
この先の仕事を考えると楽しみで楽しみで、何をするより一番気が紛れる。
ベタな言い方だけれど、そこには夢があるからだと思う。
本当の意味での復興は、いつになるか分からないけれど、
被災地の人もその周辺の人も、どうか「これからの夢」を楽しく思い浮かべる事で
気持ちを持ち上げてほしいです。
いっしょうけんめい応援しますから。

「生まれ変わっても」
これは今年の2月22日に録音したデモ音源。
一日一歌のコンセプトからは少し外れるが、
今のこの時にぜひみなさんに聴いてもらいたくて。
なぜかしら、すごく合ってると思うんです。メッセージが。
何を言いたいのか、ちょっと分からないような感じなのだが、
いや、テーマははっきりしているのだけれど、
それはまた完成してからという事で置いといて。
とにかくア・カペラのせいか、不思議な力が。
バックコーラスには、おれが18人います。
リードもおれ。絵ヅラを想像しながら聴いてみて。
気持ち悪いから(笑)。
時期をみて、ア・カペラツアーで勉強してもっとハモリを吟味して、
いずれ完成したらもっとすごいものをお聴かせできると思いますが、
これはこれで味わいのあるものになってると思うのでぜひ聴いてみてください。


以上、後半の曲解説でした。

さて、一日一歌ですが、これからは不定期で更新していくことになると思います。
都内も前よりは落ち着いて、仕事が忙しくなってきたのと、
おれ自身も勝手な使命感や情熱だけで突っ走るんじゃなく、
腰を据えてじっくりと落ち着いて、これからの事を考えていかなければいけないと思うからです。
でも変わらないのは、やり続ける事。
自分に出来る事と、自分にしか出来ない事。
それから、忘れない事。
長期戦です。地震の事も、今の気持ちも、とにかく忘れない事が大切です。
おれはまだまだやりますよ。
アイディアもあります。
それから、考える事をやめません。
がんばります。

みなさんもどうか気持ちをしっかり持って。
共にがんばりましょう!

 
 トータス松本

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